中学数学 · 約8分
正負の数の計算ミス10選と直し方
執筆・監修: Math Gym運営(meervogel.lab)
公開日:
答えの数字は合っていそうなのに、符号だけが違う。正負の数でこの状態が続くときは、計算の速さより、符号の役割を見分ける練習が役立ちます。負の数の前のマイナスと、二つの数の間の引き算の記号は同じ形でも仕事が違います。まず数をかっこで包み、一つの数の範囲をはっきりさせると、途中式を読み直しやすくなります。
間違い1〜3:たし算と引き算を混ぜない
間違い1は、異符号のたし算で絶対値をたしてしまうことです。絶対値は数直線で原点からどれだけ離れているかを表します。正方向へ進む分と負方向へ進む分は打ち消し合うので、異符号なら絶対値の差が残ります。例えば は、負方向の9のうち5が打ち消されて 。大きい絶対値をもつ数の符号を残す、と意味と手順を結び付けましょう。
間違い2は、同符号でも絶対値を引くことです。 は負方向への移動を重ねるので になります。異符号の規則と混ざったときは、二つの数の符号を先に言葉で読んでください。「負と負をたす」と確認してから絶対値をたせば、数字だけを見て操作する癖を減らせます。正の数どうしのたし算も同じ構造です。
間違い3は、負の数を引いてさらに小さくすることです。引き算は、引く数の符号を変えた数をたす計算に直せます。 なら 。ここで変わるのは引く数の符号であって、先頭の4ではありません。二重のマイナスを見つけて機械的に消すより、引く数をかっこごと指さし、その反対の数に置き換えるほうが別の式にも応用できます。
例題1:負の数を引く式
を計算する。
- 引く数 を反対の数に変えて、 とする。
- 左から 。次に 。
- 答えは 。数直線では から右へ3、さらに右へ6進み、1に着く。
間違い4〜6:乗除の符号を先に決める
間違い4は、負の数どうしの積を負にすることです。乗法では同符号の積は正、異符号の積は負になります。 です。たし算の「負と負なら負」をそのまま掛け算に持ち込まないでください。式の中央にある演算記号を確認し、乗法の規則を選ぶことが出発点です。符号を決めてから絶対値をかけると、二つの判断を分けられます。
間違い5は、負の因数が一つ増えても符号を変えないことです。ゼロでない数の積では、負の因数が偶数個なら正、奇数個なら負です。ただし、この数え方は掛け算でつながった因数についてのもの。たし算が間にある式全体でマイナスの個数を数える方法ではありません。長い積では負の因数に印を付け、符号を一度決めてから数の部分を計算します。
間違い6は、割り算で順番を交換することです。 に対し、。符号の決め方は乗法と同じでも、割られる数と割る数の役割は交換できません。割り切れなければ分数のままでよく、整数に無理に丸める必要はありません。また、0を割る数にする計算は定義されないので、符号を決める前に式の条件を確かめます。
例題2:乗法と除法を左から進める
を計算する。
- 乗除だけが続くので左から計算し、。
- 続いて 。答えは 。
- 最初に割る数と次にかける数を一つにまとめると式の意味が変わる。元の順番を保つ。
間違い7・8:累乗の範囲を読む
間違い7は、 と を同じだと考えることです。前者は5を2乗した数にマイナスを付けるので 、後者は負の数そのものを2回かけるので25です。指数の左にかっこがあるかを見て、何が繰り返されるのか読み取ります。途中で迷ったら、2乗を二つの因数の積に書き直すと、符号の根拠を確かめられます。
間違い8は、累乗を指数との掛け算にすることです。 は であって、 ではありません。指数は同じ因数の個数を表します。指数が奇数なら負の底の累乗は負、偶数なら正になりますが、これは指数が正の整数の場合に使っている説明です。まずは式を積に戻して判断する練習を重ねましょう。
間違い9・10:計算の順序と途中式
間違い9は、すべて左から順に計算することです。かっこの中、累乗、乗除、加減という優先順位があります。同じ順位の乗除は左から、加減も左から計算します。優先順位を忘れやすい人は、次に計算する部分だけを線で囲み、その部分を一つの数に置き換えるように書いてみてください。式全体を一気に変える必要はありません。
例題3:累乗と乗法が混ざる計算
を計算する。
- 累乗を先に計算し、。式は 。
- 掛け算を先に進めて 。
- 引き算をして 。答えの絶対値が大きくても、18を引いているので不自然ではない。
間違い10は、途中式を書き直す際に符号や項を落とすことです。計算する部分だけでなく、まだ計算しない部分も毎行写します。例えば例題3で9だけを下に書くと、最初の7や掛ける2が消えやすくなります。等号は左と右が同じ値だという約束なので、答えのメモを横に継ぎ足す記号として使わないことも大切です。
直しは「どの規則を選んだか」まで戻る
丸付けでは、正しい答えを赤で写すだけで終えず、最初に値が変わった行を探します。符号を決める規則の取り違えなのか、絶対値の計算違いなのか、書き写しなのかで、次に必要な練習は異なります。一問の式を全部消すより、間違えた行を残し、隣に正しい変形とその理由を書くと、自分の判断を比較できます。
答えの見当を付ける確認も加えられます。正の数から、それより大きい正の数を引けば結果は負です。負の数に正の数をたすなら、元の負の数より右へ進みます。こうした大小関係は、細かな計算とは別に符号の誤りを見つける手掛かりになります。ただし、見当だけで正解とは決めず、途中式の確認と組み合わせます。数直線を毎回きれいに描く必要はなく、原点と出発点、進む向きを簡単に書くだけでも考えを整理できます。
練習の初めは、たし算だけ、負の数を引く式だけ、累乗だけというように迷った箇所を絞ります。その形が数問続けて説明できたら、混ざった問題へ戻り、どの規則を使うか自分で選べるか確かめます。正解が続いても急いで難問へ移る必要はありません。翌日に似た式を一問解き、手順を言葉にできるかを確認するところまでを一組にすると、復習の狙いが明確になります。
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