中学数学 · 約8分
一次方程式を解く4つの型と検算
執筆・監修: Math Gym運営(meervogel.lab)
公開日:
方程式の答えが合わないとき、「移項の符号に注意」とだけ書いても、次の問題で同じ失敗が起こることがあります。かっこを外す場面の符号と、項を反対側へ移す場面の符号は、確かめる理由が違うからです。まず、どの段階の操作をしているかを分けます。ここでは文字が一つの一次方程式を取り上げ、四つの形を共通の考え方で整理します。
移項:両辺に同じ数や式を足し引きする
等式は左右が同じ値であることを表します。両辺に同じ数や式をたしたり引いたりしても、等しさは保たれます。この操作を短く書いたものが移項です。反対側へ項を移したときに符号が変わるのは、その項を打ち消す操作を両辺に行った結果。左右の位置だけを交換しているわけではないので、移さない項の符号は変えません。
例題1:文字が両辺にある方程式
を解く。
- 両辺から を引き、。
- 両辺に9をたすと 。両辺を4で割って 。
- 元の式に5を代入する。左辺は 、右辺は で一致する。
例題1を移項でまとめて書くなら です。左辺に文字の項、右辺に数の項を集める方針を先に決めると、どの項を動かすかが明確になります。文字を右へ集めても解けますが、途中で方針を変えると写し間違いが増えがちです。係数が負になっても、その負の数で両辺を割ればよく、正の係数にしないと解けないわけではありません。
最後の割り算は両辺に行います。 なら です。左辺の係数だけを消して右辺を12のままにしないようにしましょう。なお、整理して文字の項が消える場合は別の判断が必要です。例えば は となり解がなく、 はどの数を入れても成り立ちます。0で割って解を作ることはできません。
かっこ:分配してから項を集める
かっこがある式では、まず分配法則で内側の各項に数をかけます。移項と分配を同時に行う必要はありません。特に前が負の数のときは、二つ目の項の符号を確かめるために一行使います。かっこを外し終えた式が正しく書けたら、そこからは例題1と同じように文字と数をそれぞれ集めればよく、新しい解き方を覚える場面ではありません。
例題2:負の数を分配する方程式
を解く。
- をかっこの両方の項にかけ、。
- 数をまとめて 。両辺に をたして 。
- 。元の左辺は 、右辺は 。
分数:分母を払う数を全項にかける
分母が数の分数を含む方程式は、両辺に分母の最小公倍数をかけると整数の係数に直せます。これは両辺を同じ0でない数倍する操作です。一つの分数だけにかけるのではなく、左右のすべての項にかけます。分母を消すことに意識が集中すると、分数ではない定数の項に掛け忘れやすいので、最初に項を数えて確認しましょう。
例題3:分数と整数が混ざる方程式
を解く。
- 分母3と4の最小公倍数12を両辺にかけ、。
- 展開して 。整理すると だから 。
- 元の式の左辺は 。右辺の2と等しい。
例題3では分子が や というまとまりです。分母を払った後も、そのまとまりをかっこで残してください。途中で と書くと、本来4倍すべき定数が置き去りになります。まず整数倍とかっこの形まで書き、その次の行で分配すると、分母を払う操作と展開を別々に点検できます。解が大きい整数になっても、見た目だけで誤答と判断せず検算します。
分母を払うのが難しいときは、各項に12をかけた式を省略せずに書きます。分母3の項は4倍、分母4の項は3倍、右の整数2は12倍です。分母に文字が入る方程式は、文字がどの値なら分母が0にならないかという条件も必要になりますが、この記事の例題は数の分母に限っています。ここで使った手順を条件なしにすべての分数式へ広げないようにします。
小数:桁をそろえてから整数の式へ
有限小数の係数なら、両辺を10倍や100倍して小数点を消す方法があります。小数第1位までなら10倍、第2位まであるなら100倍というように、式全体で必要な桁を見ます。すでに整数の項も同じ倍率で大きくします。暗算で小数点だけを動かすより、両辺に掛ける数を式の横に記すと、元の式との対応をたどりやすくなります。
例題4:小数第2位まである方程式
を解く。
- 両辺を100倍して 。
- 移項して 、したがって 。
- 元の左辺は 、右辺は で一致する。
小数と分数が一緒に現れたら、小数を分数に直してから分母を払う方法も使えます。いつでも大きな数をかける必要はなく、自分が誤りなく計算できる形を選んで構いません。例えば0.25は4分の1です。形を変えるたびに左右の全項へ操作が及んでいるかを確かめることが、数値の大きさを小さく保つ工夫よりも先に必要になります。
解き終えたら元の式で左右を別々に計算する
検算は、最後に整理した式ではなく、問題に書かれた元の式に答えを入れます。誤った途中式に代入して一致しても、元の問題を解いた確認にはならないためです。左右を別々に計算して同じ値になるかを見ます。解として出した数を試すだけなら短い計算で済むので、分母を払った問題や負の係数があった問題ほど、確認する価値があります。
- 解き始める前に、かっこ・分数・小数のどれを先に処理するか決める。
- 各行で行った操作を一つに絞り、残りの項も省かず写す。
- 文字の係数で割る前に、係数が0でないかを見る。
- 求めた数を元の方程式に入れ、左辺と右辺を計算して比べる。
復習では、四つの型を一度に大量に解くより、最初に間違った行に近い形を選ぶと目的が定まります。分配の誤りならかっこの練習、掛け忘れなら分数の練習へ戻ります。解説を閉じても次の操作を説明できるか、数値の違う一問で確かめてください。手順と検算の両方が自分で進められれば、文章題から立てた方程式を解く際にも使える土台になります。
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